大棟8段の棟瓦とは？その特徴と注意点

大棟8段とは、棟部分を8段に積み上げる伝統的で重厚な造りです。
耐風性・重厚感に優れている反面、次のような注意点があります。

・段数が多いため、漆喰の劣化が進むと崩れやすい
・施工には高度な技術が求められる
・内部の土が湿気を含むと雨漏りのリスクが高まる

今回のお住まいも、見た目はしっかりしているものの、内部まで確認すると劣化が進んでいる状況でした。

調査で分かった漆喰の劣化と棟瓦の不具合

調査を進めると、漆喰の大きな劣化が複数カ所で確認されました。
ひび割れや痩せが進行しており、棟瓦の間に隙間が形成されています。

さらに、
・雨水が流れ込む恐れ
・棟内部の土が流出し棟瓦のズレが発生
・強風で倒壊する危険性

といった問題がすでに起きていました。

過去に行われた補修跡の影響

調査では、以前にモルタルを外側に盛っただけの簡易補修跡も確認されました。
このような補修は一時的な対処にしかならず、内部の劣化は進み続けてしまいます。

補修跡のモルタルが剥がれ落ち、逆に雨水が侵入しやすくなるケースも珍しくありません。
今回もまさにその状態で、早急な根本修繕が必要でした。

棟瓦取り直し工事での使用材料「モルロック」

棟の取り直しでは、従来の漆喰ではなく高耐久のモルロック漆喰材を採用します。

モルロックの特長は以下の通りです。

・ひび割れ防止成分を配合
・吸水率が低く防水性が高い
・密着性に優れ、棟瓦との相性が良い
・従来の漆喰より長寿命

千葉市のように年間を通して湿気が多い地域では、モルロックのような高品質漆喰が最適です。

既存棟瓦の撤去作業から開始します

まずは既存の棟瓦をすべて撤去します。
棟を構成しているのし瓦・冠瓦・葺き土を慎重に取り外していく工程です。

撤去すると長年の雨風によって葺き土が大きく劣化している様子が確認できました。
このままでは強風時の倒壊リスクもあり、大棟8段という重い棟構造では特にメンテナンスが欠かせません。

葺き土も含めて完全撤去し清掃を実施

棟内部には古い葺き土が多く残っています。
これらをきれいに撤去し、下地の状態を整えます。

葺き土は経年とともに水を含み、重さや崩れの原因になるため、取り直し工事では必ず除去し清掃を行います。
この工程を丁寧に行うことで、後の棟の強度が大きく変わります。

モルタル系材料「モルロック」で新しい土台を再構築

下地が整ったら、新しい棟の土台を形成します。
今回は防水性・耐久性に優れた「モルロック」を使用しています。

モルロックを使用することで従来の土葺きよりも安定性が高くなり、棟の長寿命化につながります。

土台表面を形成し、棟の形状を整えます

土台の形成が進むと、棟のラインがくっきりと現れてきます。

このラインが歪むと棟瓦の仕上がりにも影響するため、プロの技術が必要です。
街の屋根やさんでは細部まで妥協せず、美しい棟ラインを作ることを徹底しています。

のし瓦から順に棟瓦を積み直していきます

土台が完成したら、のし瓦を一枚ずつ丁寧に戻していきます。

大棟8段という棟のため、積み上げる枚数も多く、水平・垂直ラインの調整が重要になります。

続いて鬼瓦や8段構成の棟瓦を積み重ねていきます。

職人が一本一本銅線を通し、ガッチリと固定していきます。

最後に冠瓦を固定して棟瓦取り直し工事の完了

棟の最上段となる冠瓦を設置すると、いよいよ仕上げの工程です。

冠瓦は棟全体の防水性に大きく関わるため、特に慎重に施工します。

すべての棟瓦が積み終わり、取り直し工事が無事完了しました。

棟取り直し工事の完成

完成後の大棟は、隙間や歪みがなく、美しい仕上がりとなりました。
棟瓦がしっかり固定され、漆喰も新しいため雨漏りの心配は大幅に軽減されています。

施工後は、
・耐風性の向上
・雨仕舞い性能の改善
・外観の美しさ回復

と、住まいにとって大きなメリットが得られました。

棟瓦取り直し工事は屋根の寿命を延ばす大切なメンテナンスです

瓦屋根は非常に耐久性の高い屋根材ですが、棟部分だけは定期的なメンテナンスが欠かせません。
特に大棟8段のような重量のある棟は、強風や地震の影響を大きく受けるため、棟瓦の取り直しは屋根全体の安全性を高めるうえで非常に重要です。
尚、今回の施工費用は税込80万円での施工となりました。

街の屋根やさんでは、千葉県全域で瓦屋根の点検・補修に対応しています。
棟の歪みや瓦のズレが気になった際は、お気軽にご相談ください。