2026.09.04
日本瓦やセメント瓦といった瓦屋根のお住まいに欠かせない重要部材である漆喰(しっくい)。普段は下から見上げることが少ない場所ですが、屋根の防水性や耐久性を保つ上で非常に大きな役割を担っています。 今回は、屋根の漆喰とはどんなものでどこに使われているのか、その本質的な役割から、劣化が…

流山市名都借在住のお客様より、「突然の訪問業者から瓦のズレを言われ、屋根の専門業者ではなさそうで判断に困っている」とのご相談をいただいたことが工事のきっかけでした。
棟は屋根のいちばん高い位置にあり風の影響を受けやすく、わずかなズレでも雨水の吹き込みや下地の傷みにつながるため、早めの点検と適切な補修が重要です。
そこで、まずは専門の立場で被害状況を整理し、自然災害による損傷の可能性も含めて確認を行いました。
調査の結果、棟の冠瓦に隙間が生じ、内部の下地にも影響が出ていたため、「棟瓦取り直し工事」をご提案しています。





屋根全体を見ると、棟が一直線に通る部分で、頂部の冠瓦まわりにわずかな段差やズレが見受けられました。
棟は風を受け止めやすく、強風時に力が集中する箇所なので、こうした違和感は要注意です。
瓦自体の表面状態は大きく崩れていないように見えても、内部の固定部材が動いているケースもあるため、棟のラインを追いながら点検を進めました。
お客様にも「どの箇所にズレが生じているのか」を一緒に把握できるよう、棟の見え方を基準に状況を共有しています。
棟の継ぎ目付近では、冠瓦同士の取り合いに隙間が生じ、内部が露出している状態でした。
隙間が広がると、風雨が吹き込んだ際に棟内部へ水が回りやすくなり、固定材や漆喰の劣化を早める要因になります。
こうした開きは、経年だけでなく台風の揺さぶりで一気に進行することも少なくありません。
見た目の小さな隙間でもリスクは積み上がるため、部分補修で済むのか、取り直しが必要かを判断する重要なチェックポイントとなりました。
隙間の奥を確認すると、劣化により傷んだ棟内部の木材(芯木)が露出し、位置がずれていました。
芯木が動くと、冠瓦を固定する力が安定せず、揺れが繰り返されることで隙間の拡大や固定部の傷みにつながります。
さらに、木材が見えている状態は雨の影響を受けやすく、劣化が進行すると棟全体の強度低下を招きかねません。
今回は、強風による影響として整合性が高かったため、火災保険申請を視野に入れた復旧方法をご案内しました。
工事では、まず棟部を解体し、既存の冠瓦と内部の下地を取り外していきました。
棟の中心ラインに沿って部材が積み重なる構造のため、順序を誤ると瓦の破損や周囲への負担につながるおそれがあります。
そこで、職人は瓦の形状と固定状態を確かめながら、再使用できるものを守るように慎重に取り外しを進めました。
棟の下地を整えたうえで、棟を支える補強金具を設置しました。
ここで大切なのは、金具の取り付け位置が揃っていることと、棟の通りが真っ直ぐ出ていることです。
わずかなズレが仕上がりに影響し、冠瓦の納まりや固定力にも差が出るため、職人は基準を取りながら配置を決めていきます。
ガイドライン工法(施工法)に沿って下地から強くすることで、台風時の揺さぶりにも耐えやすい棟へ近づけました。
次に、樹脂製の貫板を取り付け、棟の芯として安定させました。
樹脂製貫板は木材に比べて水分の影響を受けにくく、棟内部の耐久性を高めるうえで有効な部材です。
施工では、金具と貫板がしっかり一体化するよう、固定方法と締結位置に気を配りながら進めました。
基礎が整うと棟の納まりが決まりやすくなり、最終的な冠瓦の仕上げも落ち着いた印象になります。
貫板の周囲には、南蛮漆喰のシルガードを用いて棟内部を固めていきました。
漆喰(しっくい)は棟の形を作るだけでなく、雨水や風が入り込みにくい状態を整えるうえで重要な役割を持ちます。
職人は鏝で形を整えながら、不要な段差や隙間が残らないように押さえ、棟のラインがきれいに通るよう仕上げました。
内部を一体化させることで、剥離や崩れのリスクを抑えます。
最後に冠瓦を戻し、ビスで確実に固定して棟を仕上げました。
固定が甘いと再び強風で動く可能性があるため、締結状態を一つひとつ確認しながら作業を進めています。
棟が整うと屋根全体の印象も引き締まり、継ぎ目の不安が解消されました。
完了後は棟の通りと固定状況を見直し、今後の点検の目安についても共有しています。
流山市名都借の瓦屋根では、台風の強風をきっかけに棟の冠瓦に隙間が生じ、内部の下地がずれることで将来的な雨漏りや棟崩れのリスクが高まっていました。
今回、樹脂製貫板・棟補強金具・南蛮漆喰(シルガード)を用いた棟取り直しで、固定力と耐久性のバランスを整えています。
訪問業者の指摘を受けたときこそ、慌てずに専門業者の調査で「本当に必要な工事」を見極めることが大切です。
棟のズレや隙間、瓦の欠けが気になる場合は、街の屋根やさんまでお気軽にご相談ください。
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