2026.05.23
瓦屋根のメンテナンスを検討していると、「棟の修理が必要です」と指摘されることがあります。しかし、棟修理と一口に言っても、漆喰補修で済むケースもあれば、棟全体を積み直すような工事が必要になるケースもあります。そのため、工事内容によって費用は大きく異なります。今回は瓦屋根の棟修理にか…

ご相談のきっかけは「これまで部分的なメンテナンスはしてきたものの、年数が経ってきて心配が増えた」というお話からでした。
さらに最近、訪問業者から屋根について指摘を受けることがあったそうで、気になり始めたタイミングで点検をご希望いただきました。
瓦屋根は丈夫な反面、棟の漆喰や固定部が傷むと、そこからズレや雨仕舞の乱れへつながるケースがあります。
また、棟は屋根の頂上部にあたり、雨風の影響を受けやすいぶん劣化が進むと不具合が出やすい部分でもあります。
街の屋根やさんでは、現状を確認したうえで「今の屋根に合う手当て」を一緒に整理し、無理のない工事内容へ心がけていきました。





棟に沿って瓦の並びを確認すると、大きく崩れている様子は見当たりませんでした。
一方で、経年の影響と思われる僅かなズレや納まりの乱れが読み取れる状態です。
こうした小さなズレは、台風時の風圧や雨の吹き込みで影響が出ることもあるため、早めに整えておくと安心につながります。
瓦そのものは深刻な割れが目立つ状況ではなく、今回は「瓦を活かす」方向で検討できる印象でした。
棟の取り合い部では、内部の土や漆喰が露出している箇所が確認できました。
漆喰が痩せたり欠けたりすると、棟瓦の中にある土台が雨水や風に曝されやすくなります。
表面の見た目以上に、棟内部の保持力が落ちているサインになりやすいのがこの状態です。
今回はまさに、棟を一度解体して土台から作り直す「取り直し工事」が適したタイミングと判断しました。
棟の端部では、シーリングが劣化しており、補修が重ねられていました。
こうした部位は動きやすく、経年で隙間が出やすいポイントです。
応急的な補修で一時的に収まっていても、下地側の劣化が進んでいると再発しやすくなります。
お客様にも状態を共有し、棟全体をリセットして組み直す方針で、安心感の高いメンテナンスをご提案しました。
棟瓦取り直し工事では、既存の棟瓦を順に外し、棟内部の土台部分まで撤去するところから進めました。
棟は瓦が重なり合って構成されている為、順番を誤ると瓦を傷めやすく、職人は手元の感覚を頼りに丁寧に解体していきます。
撤去後は棟部分がフラットになり、再構築のための下準備が整いました。
見た目がすっきりするこの工程は、屋根が「一度リセットされた」ことが分かりやすく、お客様にも工事の進み具合が伝わりやすい場面です。
棟の土台づくりには、株式会社馬場商店の南蛮漆喰「シルガード」を用いて形成しました。
棟は雨や風を受け続ける場所なので、土台材には耐久性と施工性のバランスが求められます。
白い材料が棟に沿ってきれいに盛られ、土台としてのラインがまっすぐ通っていることが確認できます。
職人が厚みや幅を整えながら施工することで、次の熨斗瓦を安定して積める状態になり、仕上がりの精度にもつながっていきます。
土台が整った後は、熨斗瓦を積み直して棟の形を作っていきました。
熨斗瓦は棟の「胴体」にあたる部分で、ここが曲がったり不揃いになると、雨仕舞だけでなく見栄えにも影響します。
まっすぐ通った棟のラインは屋根全体の印象を引き締め、工事後の満足感にも直結しやすいところです。
手作業で一段ずつ納まりを確認しながら進むため、仕上がりには職人の丁寧さが表れます。
最後に冠瓦を戻し、銅線で固定して棟を仕上げました。
冠瓦は棟の最上部を守る役割があり、固定が弱いと強風時にトラブルが起きやすくなるため、確実な固定が欠かせません。
施工後は棟がきれいに連なり、瓦屋根らしい重厚感も保たれた状態へ整いました。
工事の工程が目に見えて形になっていくことで、お客様も屋根への不安が軽くなる瞬間です。
今回、瓦自体を活かしながら、劣化が出ていた棟を「解体・再構築」する棟瓦取り直し工事(棟30m、施工3日)を実施しました。
漆喰の傷みや棟端部の劣化は、放置するとズレの拡大や雨仕舞の不安につながりやすい一方、適切なタイミングで手を入れれば屋根の寿命を伸ばしやすくなります。
街の屋根やさんでは、状態に合わせて「直すべきところを、直すべき方法で」整理し、過不足のない提案を大切にしています。
瓦屋根の棟の傷みやズレが気になったら、どうぞお気軽にご相談ください。
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