2026.07.24
日本瓦などの瓦屋根の最上部にある「棟(むね)」。従来は「南蛮漆喰」などを用いて瓦を固定する工法が一般的でしたが、近年では地震対策や強風対策として「乾式工法(かんしきこうほう)」を採用するお住まいが急増しています。 特に乾式棟施工シートである「ハイロール」などを使用した工法は、屋根…

ご相談のきっかけは、強風のあとから室内で雨漏りが起きたことでした。
お話を伺うと、屋根の瓦がずれたように見えるものの、どこまで直せば止まるのか分からず、不安なお気持ちもあったようです。
点検の結果、棟の崩れに加えて、ずれた瓦の下で防水紙が傷み、雨水が直接入り込める状態が確認できました。
そこで今回は「屋根全体ではなく、必要な部分を確実に直したい」というご希望に沿い、棟瓦の取り直しと部分的な葺き直しで計画を組み立てています。
あわせて、今後の強風被害を抑えるため、棟は従来より耐久性を意識した仕様へ見直しました。





屋根の頂部にあたる棟部分では、漆喰が痩せて隙間が出ており、棟瓦の納まりにも不安定さが見られました。
棟は風の影響を受けやすく、わずかな緩みがあると、強風時にズレが連鎖しやすい箇所です。
見た目の崩れが小さくても、内部の固定力が落ちていることがあるため、ここは要注意ポイントになります。
お客様にも、棟は雨漏りに直結しやすい「屋根の要所」だと分かりやすくお伝えしました。
別の箇所では、棟周辺の瓦が大きく持ち上がり、積み重なるように崩れていました。
これだけ隙間ができると、雨が降った際に本来の排水経路から外れて、内部へ回り込みやすくなります。
また、強風で一度動いた瓦は、元の位置へ“それっぽく”戻しても噛み合わせが狂ったままになりがちです。
雨漏りは「ズレた箇所のさらに下」で起きることも多いので、原因を一点に決め打ちせず、周囲も含めて丁寧に確認しました。
瓦をめくった箇所では、防水紙に穴が開き、その下の野地板が見えていました。
防水紙は瓦の下で雨水を受け止め、軒先へ流す最後の砦なので、破れがあると雨水がそのまま内部へ入り込みます。
つまり、瓦だけ整えても雨漏りが止まらない可能性が高い状況です。
今回の工事では、見える範囲だけを繕うのではなく、防水紙を正常な状態へ戻すための葺き直しが必要だと判断しました。
下地を整えたあとは、防水紙の上に桟木を通して、瓦を固定できる下地を再構成しました。
使用した防水紙は「TAJIMA PLATINUM」と確認でき、雨水を下へ流す役割をしっかり担う材料です。
桟木は瓦の並びと噛み合わせを左右するため、通りが乱れると仕上がりだけでなく防水性にも影響します。
ここは経験がものを言う工程で、屋根面のクセを見ながら、瓦が自然に納まるラインへ調整していきました。
桟木まで整ったら、瓦を一枚ずつ戻し、噛み合わせと通りを確認しながら葺き直します。
瓦は同じ形に見えても、経年で微妙な反りや個体差が出るため、置き方次第で隙間が生まれます。
職人同士で位置を合わせ、瓦の重なりが一定になるよう調整しながら進めることで、雨水が入り込む“きっかけ”を潰していきます。
作業が進むにつれ、屋根面が整っていく様子は、お客様にとっても安心材料になったはずです。
棟の下地には金具を取り付け、そこへ樹脂製の心木を固定していきました。
木材と比べて樹脂製は水分の影響を受けにくく、棟の安定性を長く保ちやすい点がメリットです。
金具でしっかり保持することで、風で棟が“揺さぶられる”動きを抑え、ずれや緩みの発生を抑制します。
見えない部分ほど丁寧に仕上げることで、今後の安心感につながる構成になりました。
最後に漆喰で土台を整え、冠瓦を積み直して棟を仕上げました。
漆喰は棟を支える要素の一つで、隙間を埋めて雨水の入り口を減らす役割も担います。
棟のラインが整うと屋根全体の印象も締まり、補修範囲が部分的でも「直した感」がきちんと出るのが瓦屋根の良さです。
仕上げ後は納まりを確認し、雨水の流れを妨げる段差がないかまでチェックして完了としました。
今回の千葉市緑区おゆみ野の事例では、強風による瓦のずれに加え、防水紙の破れが雨漏りの直接原因になっていました。
そこで棟の取り直し工事と、必要範囲の屋根葺き直し工事を組み合わせ、瓦の復旧だけでなく下地から雨仕舞を立て直す内容で対処しています。
耐風性を意識した棟の仕様へ見直したことで、今後の強風時にも不安を抱えにくい屋根になりました。
瓦屋根の雨漏りは原因が複合することが多いため、同じように「風のあとから漏れた」「瓦がずれている気がする」と感じたら、街の屋根やさんまでお気軽にご相談ください。
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