2026.05.23
瓦屋根のメンテナンスを検討していると、「棟の修理が必要です」と指摘されることがあります。しかし、棟修理と一口に言っても、漆喰補修で済むケースもあれば、棟全体を積み直すような工事が必要になるケースもあります。そのため、工事内容によって費用は大きく異なります。今回は瓦屋根の棟修理にか…

印西市小林にて築30年屋根に棟瓦取り工事して雨漏り予防と強風対策しました。
ご相談のきっかけは、訪問業者から「瓦屋根が大きくずれている」と指摘を受けたことだったそうです。
確認すると、指摘のような著しいズレや今にも落下しそうな状態ではありませんでしたが、年数相応の傷みは複数箇所で進行していました。
築約30年で大きなズレや離脱は目立たない一方、漆喰の剥がれや棟周りの弱りが見え始める時期でもあり、放置すると雨水の入り込みや棟の不安定化につながりかねません。
大きな不具合が出てから慌てて直すより、劣化が軽いうちに手当てをしておく方が費用も工期も抑えやすいため、棟瓦取り直し(棟33m)でメンテナンスする運びとなりました。





瓦屋根の棟部分は大きく崩れているわけではないものの、漆喰が痩せて隙間が目立つ箇所が確認できました。
棟は屋根面のいちばん高い位置にあり、風雨を受けやすい場所なので、わずかな隙間でも劣化が進むと影響が大きくなります。
瓦自体は整って見えても、内部の葺き土や漆喰が弱ると固定力が落ち、強風時の浮きや振動の原因になりがちです。
今のうちに棟の構造を立て直す判断が、結果的に安心につながる状態でした。
棟の端部にあたる取り合いでは、瓦の納まりが複雑になりやすく、わずかな浮きが生じていました。
さらに内側の土が一部露出しており、漆喰が本来担う「土を守る役割」が弱くなっていることが分かります。
土がむき出しのまま雨に当たると、流出や崩れが起きやすく、棟全体の形が崩れるきっかけになりかねません。
落下リスクまで至る前の段階で、固定と保護をやり直す必要性があると判断しました。
冠瓦の近くでは瓦の欠けや割れが見られ、接合部にも隙間が生じていました。
棟は瓦同士の継ぎ目が多く、ここに隙間があると雨水が入り込みやすくなるため、見逃したくないポイントです。
表面上は軽微に見える欠けでも、内部の漆喰や葺き土に水が回ると、乾湿の繰り返しで劣化が加速しやすい傾向があります。
瓦自体は再使用可能な範囲と見込み、棟を一度解体してから、下地から再構築する方法で対策を行うことにしました。
工事は棟の解体から着手し「冠瓦・のし瓦」を順に外していきました。
棟取り直し工事では、見える部分だけを埋め直すのではなく、古い葺き土や劣化した材料を撤去してから再構築するため、納まりの精度を上げやすいのが利点です。
解体して初めて分かる傷みもあるため、この工程を丁寧に行うことが仕上がりの安定感につながります。
棟を撤去した後は、屋根面の棟部分をフラットな状態に整え、次の土台づくりに備えました。
ここが不陸のままだと、熨斗瓦が綺麗に通らず、後々のズレの原因になりやすいため、職人の感覚と水平の取り方が重要になります。
新しい棟の土台には、株式会社馬場商店のシルガード(漆喰材)を使用しました。
シルガードはシリコン成分を含んだ防水性の高い漆喰材で、雨にさらされやすい棟部の耐久性向上が期待できます。
材料の性能だけに頼らず、必要量を適切に盛り、瓦が据わる面を整えることで密着性と安定感が出ます。
土台が締まると、その上に戻す瓦が素直に納まり、長期的なズレの抑制にもつながります。
土台が整ったところで、取り外していた熨斗瓦を順番に戻していきました。
隅棟では段の重なりが見えるため、通りが乱れると仕上がりの印象が一気に崩れてしまいます。
そこで、瓦の座りを見ながら微調整を重ね、段差やねじれが出ないように据え付けました。
職人が一枚ごとに納まりを確認しながら進めることで、見た目の美しさと構造の安定が両立します。
棟の頂部となる冠瓦を戻す際は、内側にもシルガードを入れて、雨水の通り道になる開口を作らないように納めました。
棟の弱点は「継ぎ目」なので、ここをどう塞ぐかが雨漏り予防の要になります。
外から見えにくい部分ほど手を抜かず、材料を効かせる位置と量をコントロールして仕上げています。
施工後は棟が一体化した印象になり、触らなくても安心感のある佇まいへ変わりました。
仕上げとして、棟の結束に使う銅線も新しいものへ交換しました。
棟取り直し工事では一度解体する為、固定の要である結束部を更新できる点が大きなメリットです。
銅線は締め具合が重要で、強すぎると瓦に負担がかかり、弱いと風で動きやすくなるため、瓦の状態を見ながら加減して留めています。
地震や強風の揺さぶりに備えた固定が入ることで、日常の不安も軽くなります。
今回の工事では、棟瓦33mの取り直しによって、経年で弱っていた棟周りを下地から立て直しました。
大きなズレがない段階でも、漆喰の剥がれや土の露出が進むと、棟の固定力が落ちて雨水の影響を受けやすくなるため、早めのメンテナンスは有効です。
シルガードを用いた土台形成や、冠瓦内側の充填、新規銅線での結束といった積み重ねが、見た目の整いだけでなく安心感にも直結します。
訪問業者の指摘で不安になったときほど、状況を正しく見極めることが大切なので、同じようなお悩みがあればお気軽にご相談ください。
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