　一般住宅に瓦屋根が選ばれることは少なくなってきていますが、その耐久性はどの屋根材よりも未だ圧倒的に長いものとなっています。

　60年以上ともされている瓦の寿命は一生ものと考えても良いくらいですが、屋根のその他の構造部分は先に劣化が進むため、雨漏りを防ぐためには定期的なメンテナンスを行う必要があります。

　そこで今回は、瓦を再利用しつつルーフィングや野地板を新しくすることができる「屋根葺き直し工事」について費用などをご紹介していきます(*^^)v

葺き直し工事の費用相場はどれくらい？

　屋根の葺き直し工事にかかる費用は、約30坪の住宅の屋根と仮定した場合で約93万～160万円が相場となります。

　これは、瓦屋根の屋根葺き替え工事の費用相場である約150万～200万と比べるとかなり安いことが分かりますね。

　葺き直し工事の費用の内訳としては、既存の瓦の取り外し・保管、新しい防水シートや野地板の施工、下地の補修・補強、瓦の再施工などが含まれます。

葺き替え工事よりも葺き直し工事が安い理由

　葺き直しは既存の瓦を一度取り外し、屋根の防水シートや下地を新したあとで元に戻す工事です。

　新しい屋根材とこれまでの瓦の処分費用が掛からないため、葺き替えよりも安く下地のメンテナンスを行うことができます。

　ただ、2022年1月より新たに義務付けられたガイドライン工法の影響により、今後の葺き直し工事は価格が上昇する可能性が非常に高いと言えます。

　その他、葺き直しの注意点について以下にまとめておりますので、気になる方はぜひチェックしてみてください(^▽^)/

葺き直し工事の注意点

ガイドライン工法で評価が変わる可能性があります

　先ほどから登場しているガイドライン工法とは、全ての瓦を種類や部位に応じて釘などで緊結するといった施工方法となります。

　これまでは特定の瓦のみが釘や銅線による緊結対象だったため、多くの平瓦は取り外しが容易でした。
　そのため、葺き直し工事でも簡単に取り外しと元へ戻す工程を済ますことができていました。

　ただ、強い台風などの影響で瓦が飛散する被害の多発を受け、令和4年（2022年）からは新築と増築を対象にガイドライン工法での施工が義務化されたのです。

　そのため、ガイドライン工法による瓦屋根で葺き直し工事を行う場合、これまでと違って瓦の取り外しや再施工に多くの手間が掛かるようになります。
　それは葺き直し工事の費用にも影響を与えるはずです。

　まだリフォームでのガイドライン工法は義務化されておりません。
　ですが、記憶に新しい能登半島地震ではガイドライン工法での瓦屋根で被害が発生しなかったという調査結果が発表されており、今後の安全性を考慮するのであれば葺き直し時にもガイドライン工法を検討するのはオススメと言えます。

現状でもそこまで安くならない場合がある

　ガイドライン工法以外にも葺き直し費用を高める要因があります。

　葺き直しは葺き替えよりもコストを抑えられるとされていますが、必ずしもすべてのケースで大幅に安くなるわけではありません。

　例えば、軒部分の瓦に特別な形状や納め方が適用されている場合、再施工の際には通常以上の費用が掛かることも考えられます。

　施工の手間が比較的少ない金属屋根での葺き替えとあまり費用が変わらないような場合、両方の金額をよく比べた上でどちらの工事を選択するか検討することも重要です。