　近年、台風や大雨などの自然災害が増え、それに伴い屋根修理の需要も高まっています。
　火災保険を活用することで出費を抑えて屋根を修理することができますが、それを逆手にとる悪質な業者も存在し、トラブルに発展するケースが多発しています。
　本記事では、火災保険を使った屋根修理のトラブル事例と対策について詳しく解説します。

火災保険を利用した屋根修理の仕組み

　火災保険は、自然災害や偶発的な事故によって住まいや家財に損害が発生した場合に補償を受けることができます。
　屋根修理においては、多くの場合に自然災害による被害を修理するために活用されます。

　ただし、無条件に補償が受けられるわけではないので注意しましょう。
　経年劣化や通常の摩耗による損傷は補償対象外となりますし、保険申請時の審査において適正ではないと判断されれば補償を受けることはできません。

怪しい業者による火災保険のトラブル事例

　近年、火災保険にまつわるトラブル事例が増えています。
　とくに、アポイントなしで訪問してくる業者には警戒が必要です。

　ここでは、実際にあった「火災保険を使った屋根修理」のトラブル事例を紹介します。

「無料で修理できる」と言われたのに自己負担が発生

　「火災保険を使えば無料で屋根の修理・リフォームができますよ！」
　こうした謳い文句で契約を進めてくる業者には要注意です。

　火災保険が下りるかどうかを判断するのは、修理業者ではなく保険会社です。
　工事契約を結んだ後に「保険が下りなかったから修理費用を払ってください。」と請求されるケースや、保険が下りた場合にも「保険金が修理費用に満たなかったので差額を払ってください。」といって請求されるケースが報告されています。

虚偽の申請を勧めてくる

　悪質なケースとして、実際には被害がないにもかかわらず「適当に傷をつけて申請すれば保険金が下りる」と虚偽の申請を持ちかけるケースあります。
　これは、「保険金詐欺」に該当します。

　申請を勧めた業者だけでなく、契約者自身も処罰される可能性があることを覚えておきましょう。

申請の代行

　火災保険の申請代行被として、高額な手数料を請求されるケースです。
　火災保険の申請を代行するには弁護士資格が必要となり、資格を持たない業者ができるのは「被害箇所の写真撮影」や「修理見積の作成」のみです。

　これらは、多くの屋根修理業者が無料で対応してくれる内容であることを覚えておきましょう。

万が一契約してしまったら

　万が一、怪しい業者と契約を結んでしまったら、クーリング・オフ制度を活用して契約を破棄しましょう。

クーリング・オフ制度とは？

　クーリングオフ制度とは、主に訪問販売や電話勧誘販売など、不意打ち的な取引の場合に消費者が契約を解除できる制度です。
　基本的には契約日から8日以内に所定の方式で解約を申し出る必要があります。

　国民生活センターや消費者センターへ相談すると、安心してクーリングオフの手続きを進められるので覚えておきましょう。

　ただし、自分から業者の営業所へ出向いて契約を交わした場合などにはクーリングオフ制度が使えないこともあるため、業者の見極めは慎重に行いましょう。

詐欺被害にあわないために

　今回紹介したような詐欺被害にあわないためには、信頼できる施工業者を選ぶことが大切です。
　契約の前に、インターネットなどで業者の評判・口コミを収集し、業者にしっかりとした実績があるかどうか必ず確認しましょう。

　火災保険を利用した屋根修理は適切に行えば大きなメリットがありますが、悪質な業者の手口には十分注意が必要です。
　「無料」や「自己負担ゼロ」といった甘い言葉には慎重になり、信頼できる業者を選びましょう。

　トラブルを防ぐためには、保険の仕組みを理解し、適切な手順で修理を進めることが重要です。