和瓦は日本の伝統的な屋根材として知られ、美観と高い耐久性を兼ね備えています。
しかし、「瓦が丈夫だから大丈夫」と思い込み、屋根の点検や葺き替えのタイミングを逃してしまうと、瓦の下にある防水紙や木材が先に傷み、雨漏りや構造劣化を引き起こすこともあります。

この記事では、和瓦の耐用年数や適切な葺き替え時期、放置した場合のリスクなど、屋根を長持ちさせるために知っておくべき情報を解説していきます。

和瓦の耐用年数

和瓦（日本瓦）は非常に耐久性に優れており、一般的に50年以上持つと言われています。
中には100年以上持つケースもあり、定期的なメンテナンスを施せば、長期間にわたり屋根材として機能します。

ただし、瓦そのものが丈夫でも、瓦を支える漆喰や、下に敷かれている防水紙（ルーフィング）、野地板（木材）の寿命はそれほど長くありません。
これらの部材の寿命は20～30年程度であるため、和瓦屋根のメンテナンスや葺き替えは、瓦以外の部分の劣化具合も加味して検討する必要があります。

屋根葺き替えの適切な時期とは？

屋根の葺き替えを検討するべきタイミングとしては、瓦自体が限界を迎える50年以降と、防水紙や野地板が寿命を迎える20～30年ごろの2つの目安があります。

また、築年数に関わらず、雨漏りが起きているという場合には基本的には葺き替え工事が必要です。

築30年以上経過している場合は、見た目に問題がなくても一度専門業者による点検を受けることをおすすめします。
防水紙が寿命を迎えていると、いずれ雨漏りを引き起こし、大規模な補修が必要になる可能性もあります。

瓦屋根を放置するとどうなる？

瓦屋根を放置して劣化が進行すると、次のようなリスクがあります。

雨漏りの発生
瓦の下にある防水紙や野地板が腐ると、雨水が屋根内部に侵入し、室内への雨漏りが発生します。

構造材の腐食・シロアリ被害
長期間湿気にさらされると、屋根の構造材が腐り、シロアリを引き寄せる原因にもなります。

修理費用の増加
早期に対処していれば補修で済んだものが、放置により葺き替えや構造補強が必要になると、費用が百万円以上になるケースもあります。

耐久性が高い和瓦ですが、定期的な点検を怠ることで建物全体の寿命を縮めてしまうことにもつながります。

葺き替えと葺き直しの違いと選び方

瓦屋根を下地から補修できるメンテナンス方法には「葺き替え」と「葺き直し」の2つの選択肢があります。

葺き替え
瓦も含めたすべての屋根材を新しくする方法。防水紙や野地板も交換するため、雨漏りリスクを根本から解消できます。

葺き直し
既存の瓦を再利用し、防水紙や野地板だけを交換する方法。瓦が良好な状態であればコストを抑えられます。

どちらを選ぶべきかは、瓦の状態によって異なります。
割れや色あせが少なく、今後も十分使えると判断されれば葺き直しが可能ですが、劣化が進んでいる場合は、全面的な葺き替えが安全です。
信頼できる業者に調査を依頼し、現地の状況を踏まえて判断することが大切です。

葺き替え工事

葺き直し工事

まとめ

和瓦は非常に長寿命な屋根材ですが、瓦の下地となる防水紙や木材はそうではありません。
築30年以上経過している場合や、雨漏りが見られる場合は、葺き替えや葺き直しの検討が必要です。

屋根の劣化は目に見えにくく、気づかないうちに建物全体に悪影響を与えることもあります。
定期的な点検と、早めの対応が建物の寿命を守るカギとなります。
気になる症状がある方は、お早めに専門業者へご相談ください。

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